c71の一日

生活の記録

病気になってしまったことを許せない

どうして病気になってしまったんだろうと思います。

病気になりさえしなければ、人生がうまく行ったのに。

もう、失敗してしまったので、これから先、生きる価値もないし、意味もない。

自分の人生のある時期における傷が許せない気持ちがあります。
これからうまくいくよ、と言われても、「でも今苦しい気持ちは消えないのだ」と思います。
過去の苦しみも消えません。どれだけこれから成功しても、それは消えないのです。
人生における傷がある以上、成功したとしても無意味、それに、成功するとは思えない。

そういう気持ちで頭がぐるぐるします。
うまくいっている友達のことを思うと、うらやましいし、苦しい。
どうして、わたしだけ、と思います。

そのことで先生を責めたことがあります。

先生は、いつかよくなると言ったけれど、全然変わらない、先生は医者という、世間的にアドバンテージの高い職業に就いて、無責任なことを言っている。
わたしはフリーターだし、これからうまくいく見込みもない。

わたしの話を聞いてくれる人に対して、なんとまあ、ひどいことを言ったのだ、と思いますが、本心です。

先生は、
「根拠はないけれど、あなたは将来乗り越えてうまくいくような気がしている。そうしたら、今の体験をたくさんの人に伝えることができる。一生うまくいって、病気もしない人なんていない。全員病気をする。うまく行っているような人だって、結局僕のところにくる。それで、どうして生きているのかわからないです、という。
僕だって、自分のために生きたことなんてない。やりたいことをやって生きられた時間なんてそんなにはない。先生先生と言われても、一日のほとんどをここに座って他人のために時間を使っている。人生は一度だというのに、他の人がつらいですという話を聞いて二十年も三十年もたった。
そのことを考えるとつらいときもある。
死にたいですと言ってくる人を助けることもある。
そのとき、僕は救急病とかERみたいに、人の命を救ったことになるけれど、精神科医なんて、当たり前だとしか、誰も思わないし、患者さんからも感謝はされない。
c71さんは年を取ったと言って嘆くけれど、僕の方がずっと年を取っている。ひげも髪も白くなった。
病気になったことを、なりたくなかったというより、病気の体験を人に伝えることがあなたの使命だよ。それで、あなたと同じ苦しみをしている人を救えるかもしれない。そうしたら、病気に価値があったことになる。病気になりたくなかったといくら言っても、なっていることを消せないんだから」
とおっしゃいました。

そう、わたしは病気になったことを未だに許せない。
わたしが弱かったから、馬鹿だったから、間抜けだったから病気になったのであって、うまくやれば、こんな病気にはならなかったのだと思っています。
だから、病気になったことを馬鹿であることの証明のように思っています。

それが、わたしの病気以外の苦しみの元です。

わたしは、病気になってしまったことを、こんなにも長い年月が経っていても、まだ許せていないのです。