c71の一日

生活の記録

電車の中で戻してしまい、東京の人の優しさに触れた話

その日は、朝四時から八時半まで友人のうちで眠ったあと、別の友人に横浜を案内してもらい、その後、また別の友人に品川でオイスターをごちそうになりました。

そうしたら、山手線の中で、二十分もたたずに、いきなり前兆もなく戻してしまいました。

わたしは、驚いて、どうしようと思い、恥ずかしく恐ろしく気持ち悪く、動揺していて周りの人に謝りました。そうしたら、隣の座席の女性がウェットティッシュと、ティッシュを「どうぞ」といって、渡してくれました。

わたしは、なんて親切なんだろうと思いました。

新宿でおりて、戻し通して、中央線に乗りました。もう、何もでないと思いました。
でも、そうではなかったです。

中野で、またしても、いきなり吐いてしまいました。しかも大量に。
もうしわけない思いで、いっぱいになり、でも、掃除をするものも何も持たずに、手も、足も、服も髪もげろまみれになっていました。

そうしたら、周りの人が、紙袋やビニール袋、ティッシュ、ウェットティッシュを次々に「使ってください」といって渡してくれました。荷物の上に山のようにそれらが積み上がりました。

わたしは必死で掃除をしましたが、全部は綺麗にならなかったです。泣きそうでした。


一生懸命拭いて、ゴミを袋に入れて、謝りながら、高円寺で降りました。

カーディガンの袖口もバッグもげろまみれでくさくて気持ち悪かったです。


高円寺でも道ばたで戻しました。
町を汚してもらって申し訳なかったです。

すると、通りかかった外国人の人が「Are you OK?」と声をかけてくれました。
大丈夫です、と言ったのに「そういうときは、大丈夫って言わなくていい、周りの人に助けを求めていいんだよ」と言ってくれて、背中をさすってくれました。

そして、帰るの?迎えにきてもらう?電話しようか?一緒についていこうか?と言ってくれたので、「友だちが迎えにくる」と嘘をつきました。
そうしたら「探しにいってあげる」と言ってくれたので、慌てて「ちがうんです、友だちの家が近くでこれからいきます」と言いました。


そうしたら、その人は荷物を持ってくれました。遠慮したのに。いいんだといって。そして、友だちのお店までついてきてくれて気にしなくていいと言って去っていきました。

友だちのお店は飲食店でした。わたしはかなりくさかったと思います。でも、友だちは驚いただけで、何一つ表情に出さず、「大丈夫?」といって熱いお茶を出してくれました。
わたしは、トイレを借りますと言って、顔と手と髪を洗って吐きました。


「全部出した方がいいよ」といって、友だちは心配してくれました。
お店が終わるまで待って、友だちの家に泊まりました。

友だちは、わたしに熱い紅茶を入れてくれました。「わたしのときも紅茶だけは飲めたの」といって。確かに紅茶だけは飲めました。また、吐きました。

帰ってから、わたしの友だちにメールをしました。
そうしたら、全員が、またきてね、東京に来るときには必ず連絡してね、と言ってくれました。
こんなわたしなのに。「あなたは優しい」と言ってもらいました。

旅行に出なければ、こんなことはなかったのです。会社がすべてで、ぎすぎすして、失敗だらけで、情けない気持ちで一杯のわたしのままでした。


旅行に出たので、わたしは、わたしだということだけで、親切にされて、世の中は素晴らしい、優しさに満ちていると思いました。