c71の一日

生活の記録

ヒプノセラピー体験

今日はヒプノセラピーへ行った。
個人的な記録なので面白くはないかもしれません。セラピー自体は、ワークショップを含めると通算四回目です。セラピールームに行くのは二回目です。




エレベーターを登って、廊下を通って、ぴんぽーんと鳴らして、ドアを開けて入った。
そうしたら、黄色いティシャツを着た人がいて、それが先生だった。いつもの先生だ。


何についてセッションするか、三十分ほど会話した。冷たいお茶と温かいお茶とどちらが良いか聞かれたので、温かいのを頼んだ。


今日は、どういう流れでくることにしたのですか、と聞かれたので、いろいろと変化があって、それで、正確に見られるようになりたいと思ったのだ、ということを話した。
正確にどういうことですか、と聞かれたので、「こうあってほしい、と思って、事実をゆがめてみてしまうところがあるので。

たとえば、いつも、いやなことをされると、すぐに、相手にも何か事情があるんだ、理解しようと思ってしまう。いやなことをする人がいるとか、自分がいやなことをされたんだ、ということを信じたくなくて。


でも、そうじゃなくて、ゆっくり考えて、ひとつひとつ、今、何かされそう、何かされた、それは自分にとっていやなことだった、っていうのをきちんと見たいのです。


それは、わたしにとって事実だから、どうこう思わない、いやなことだったということを感じるのを封じてしまうんじゃなくて、わたしにとって、いやなことが起きた、ということをきちんと把握したいのです。すぐ、反応して、なんとか解決しようと思わないで、ただ、今、いやなことをされている、というところで、一度止まりたいんです」と話した。

「そうしないと、今、何が自分に起きているのか、わからなくなってしまうから」


「過食をしてしまうのですけれど、もともと、おおもとの何かがあって、それを見たくないから、問題行動に走ってしまうのだと思うのですけど、問題行動をつぶすことじゃなくて、おおもとをみたいな、と思う。見たらしんどいのかもしれないけど、思いついた、ってことは、見られることなのかなと思って」


「それと、このまえ制限を外す、ということをしましたが、わたしは焦っていて。普通、とか、一般て言葉に焦っていて。自分は図太いんだ、ということに最近気づいたのですけど。そのことをちゃんと見たい」


「コミュニケーション能力がないと言われていたのですけど、自分の心を適切に開示する、ということは、だんだん出来て来たと思う。わたしは、次に何をしたいのか、知りたい。できれば、もっと書けるようになりたい。いつも、覚えていて、考えたことを書いていたいという衝動がある。そのことの原因にも触れたい」


「この一週間、一日一万アクセスのエントリが二つあったから、なにかの前兆じゃないかと思う。なにか、わたしに変化したことがあるのなら、知りたい。わたしの書くものが、誰か欲する人がいるのならば、それを続けていきたいけれど、どういう意味があるのか知りたい」


というようなことを話した。

(コミュニケーション能力というのは、世間で使う場合には、どれだけ自分に嘘をつけるのかのバッファじゃないか、という話をした。それと、わたしが書くものは、「裁かないで」「ジャッジしないで」という内容のものが多く、それが人を引きつけたのではないかという話が出た)



セラピーはいつもの通り、からだの関節のスイッチをひとつひとつ切っていく暗示をした。
からだの感覚は、なくなっていくのに、意識はひどく覚めていて、ちっとも暗示がかかった気がしなかった。また、暗示に失敗したのかなと思ったけれど、前回も、うまくいっていた。それに失敗しても良いのだ。これは、単なる道具なのだから。


わたしのからだは眠っているような呼吸なのだった。


「何が見えますか」と聞かれたので、
「暗闇です。白い光、オーロラのような光がほのかに見えます。わたしはなめくじのような形をして、墜落しているのです」と話した。
「どこにいくのですか」
「光の方へ。まぶしい。熱い感じがします。宇宙船にいて、部屋に女の人と、女の人に虐待されている子どもたちが見えます。助けようとするのですが、ドアをばたんと閉じられてしまったのです。わたしはそのまま先に進みます。そうすると、頭に圧迫感を感じました。宇宙船の廊下は赤い絨毯が敷き詰められていて、そこを踏んで歩くのですが、両手サイドに広い窓があって、そこから宇宙が見えます。そう思っていると、床も消えて、上下左右すべてが、宇宙空間になり、自分が、宇宙にいるのか、ロケットの中なのか、区別がつかなくなりました。そのまま、飛んでいくと、北極に着きました。北極に行ったら、そのまま落ちていきます。雪の、白い世界です。冷たい。わたしはそのまま、落ちていって、水の中に行きます。そこは暗く寒いし、奇妙な生き物がたくさんいます。目の退化した、人間のような、白い生き物がうようよしているのが見えます。それからさらに下に落ちていくと、その生き物たちが、作った街が見えます。その人たちには、目がないので、見える、という感覚がありません。だから、わたしが言っていることが彼らには理解できないのです」

「そうしたらどうしたのですか」
「男の人がやってきて、わたしにふっざけんな、普通は、というようなことを言いました。わたしはいやだ、と言いたいです。近づくな、と言いたいです。でも言えないです」
「どうしますか」
「いやだ、と言います……(言えない)。胸が締め付けられるような感じがして、とても苦しい。他にも人がやって来て、わたしをののしります。とても大勢です。その人たちが、わたしを踏みつけて、頭を押さえつけて、土下座させて、従わせようとします。わたしは、それがいやです。苦しい、頭が痛い、首が痛い」
「うん、それで」
「それで、わたしは、うしろにそのまま下がりました。そうしたら、ステージの端まで行って、そのまま墜落しました。
ミヒャエル・エンデの話の中に、試験を受ける若者が、からだに網をまとって試験会場に行こうとする話があるのですが、その中で、人々に頼まれごとをされて、自分が良い顔をしたいばかりに、引き受けていく。試験に受かりたいので、もしかしたら、今の家庭も見られているかもしれないから、と思って。そうしているうちに、頼まれごとが増えて、網にどんどんごみが絡まって、重くて進めなくなるのです。そして、彼は、試験会場にたどり着けなかったこと自体が、試験に失敗したことなのだと悟るのです。試験は不服従だったと。わたしはその話の意味が分からなかったのですが、今わかりました。わたしはそのことを考えながら墜落します。墜落していって、地球の中をどんどん進んでいって、核の部分へ行きます。そこは圧力が高くて、熱があり、熱い。わたしは引き延ばされていきます。非常に苦痛があります。圧力で、からだが変形します。それを耐えているうちに、地球のさらに反対側を通って、地上に出て行きました。わたしは砂まみれになりながら、夜の浜辺に横たわっています。海が満ちてきました」

「そうなの、それで、どうしたのだろう」


「わたしは石になりました。石なので、何も表現できません。表現できませんが、感じることはできて、気分ではないのですが、気分のようなものを持っています。そうしていると、ぐるぐる回る宇宙の中心にいたのだとわかるのです。わたしはそのぐるぐるに加わりたくて、でも、そのぐるぐるは、耳も言葉も持っていないので、どうやって、仲間に入れてもらえれば良いのかわからなくて、イルカになりました。
それで、わたしは、その仲間に入れてもらって、何万年も、ぐるぐる回っていました。そこは、宇宙の中心で、その回っていること自体が、宇宙を回していて、使命を果たせている、何かの役に立っているのだと思いました。
でも、だんだん、役に立っていることとは何か?誰のために役に立つのか?役に立つと素晴らしい、という価値観はそもそもおかしいのではないか、ということを思うようになりました。それで、わたしは、またそのぐるぐるの遠心力の力で、弾かれていき、今度は、卵になりました。わたしは今卵の中にいます。とても、苦しい。息ができない。ああ。殻を破らないと死んでしまいます。地上に落ちた衝撃で、殻にどこか傷がないか、探しているのですが、ありません。このままだと死んでしまいます。怖い」


「うんうん」


「非常に暑い…。そうしていたら、たぶん、親鳥が、殻に穴をあけてくれました。わたしはそこに。頭を当てて、殻を割り始めました。涼しい…。息が出来る。わたしは、自分の母鳥を見ました」
「どうでしたか」
「非常に巨大で、羽毛しか、羽毛の壁、それがひたすら続いていて、暑いですね…。暑いので、苦しい。苦しいので、逃げる。逃げるとまた、しまわれてしまう。その繰り返しですね。その繰り返しをしていると。ふと、外に追い出されました。追い出されて、死ぬ、と思ったら」


「どうなるのですか」

「空が飛べたのです。そう、飛べるんだ。両腕を動かして、飛んでいる感じがします」

「どんな感じですか」


「額に、風を感じて、涼しいです。とても、気分が良い。晴れやか。自分の力で飛ぶのは気持ちが良い。自分にからだがあることというのは、それだけで、喜びなのだと。石の間、宇宙でぐるぐる回っているときにはわからなかった、そう、からだがあるという喜びですね。どこまでも飛べる、と思っていたら、疲れてきました」


「疲れて来たんですね」
「そうです。それで、また、落ちます。羽ばたくのをやめます。死ぬかもしれません」
「どうします?」
「羽ばたくのをやめます。いえ、落ちませんでした。翼がなくても、そのまま飛んでいます。うわ、すごい、飛んでいる。そのままで良いんだ、とわかりました。わたしは、そのままで良い。
わたしは、あのとき、いやだと言いたかったけど、言えなかったことが悔しかった。あのとき、子どもを助けられなくて、胸をかきむしられる気がした」


「宇宙船のときや、男の人に押さえつけたとき、やめて、いやです、と言いたかった。でも、どうしても、怖くて言えなかった。言えない自分がいやだった。苦しかった。でも、言えなくても、良いんだ、言えても、良いんだ、と思いました。今、そう思ったら、いやだと言える気がしました。そう、どっちでも良い。しょうがない。言えなくても。言えても。わたしは、わたしだから、言っても、言わなくても、相手が変わっても、変わらなくても、押さえつけられても、つけられなくても、わたしは、わたし。そのままだから。変えられないから、だから、大丈夫なんです」


「ふむふむ」


「石は、言葉に鳴らないことを感じているから、宇宙の一部だったことがあるから、伝えたいことがある。でも、伝えられなくても良いと思っている。石だった自分、ということなんですが。石にはなにもないから、感情も気分もないのですが、波動みたいなもの、かすかな、なにか、みたいなものがあるとしたら、それを伝えても伝えなくても良いけれど、伝えても良いかな、と思ってるものがあって。


なんだろう、それは、どうしたら、伝えられるんだろう……」

「なんでしょうね」


「物語かな。物語ですね。物語をつくって、伝えることが、人間だと出来る。だから、石だった間のこと、石だから、考えるとかないので、考えたこととも違うし経験とも違うんですけど、ぐるぐる回ってて、飽きた気持ち、役に立つとか立たないとかくだらないから、自分のために生きようと思った気持ち、そういうのを物語にしたいって、思いました。

わたしは助けられなかったし、いやだと言えなかった。だからだめなんだ、と思って、つらかった。いやです、と言っても、うまく伝わらなかったりもした。


でも、後ろに下がって逃げられたり、イルカになったり、鳥になったりそのときどきで、工夫して切り抜けられて来た。だから、どんな風になっても、今のままで大丈夫。伝わらなくても、わたしは変わらないから、大丈夫。仕方がない、しょうがない、でも、我慢もしない、そういう気持ちです」


「これからどうしますか」


「ここから先を見たい気もする、でも、見られない気もする…。いや、疲れたのでやめます。ここで終わりにします」


「わかりました」


それから、暗示を解く作業がをした。終わった。時計を見たら、三時だった。始まりが一時半だったから、一時間半、話し続けていたのだった。段階を追って、暗示を解くのだが、一時間半ぶりに感じる、自分の腕や足はとても重かった。重かったし、感覚があって、動かすと動いた。ソファを元に戻そうとして、足に力を入れると、ちゃんと動いて、元に戻せた。それがとても嬉しいと思った。



先生と何か話すのも恥ずかしい気がしたけれど、なにか解釈があるかと思ったので
「どう思いますか」
と聞いたら、
「一緒に体験させてもらいましたよ」と言われた。
「最初から自分で何を体験するか決めて、どのくらいの時間でやるかも決めている感じが最初からして、ここでは作業が残っていただけ、という感じでしたね」と先生は笑った。


「逃げたのは良かったですね。後ろに下がると、景色が見えますよね。がんじがらめになって、そしたら、ふっと背景になるような」
「わたしは、ジグゾーパズルの一部みたいな気がして、それで前にも進めないし、後ろに進んだら、後ろのスペースがこんなにも前後左右上下空いてる、フリーだ、と思って」
「そうなんですよねー」
「わたしは覚えてられるでしょうか」
「覚えてられますよ。体験したのですから。ずいぶん、がんがん進んでいったので疲れたでしょうから、ゆっくり休んでください」


今日、わたしが選んだ瓶の言葉は「GATEWAY #5」というものだった。「これが催眠中も見えていて、これだと思うんですよね。でも、間違っていても、たいしたことじゃないし」
「そうそう、たいしたことじゃないんですよ。それも、よし、ですよ」
「この瓶の意味は、一行ですね、エネルギーをひとつのまとめる、夜明け前、という意味ですね」
「ああ、宇宙とか暗闇とか夜とか、その間ばかり飛んでいたし。見えていた光は夜明け前の光だなと思っていました」



そういうわけで、ヒプノセラピーは終わった。


自分に時間とお金をかけて、誰かに付き添ってもらいながら、ひとりでは立ち向かえないような問題に、向き合うのって、結構気持ちが良い。
忘れていた宿題をやるみたいな気がする。一人だと心細くてみたくないのだけど、誰かいていくれると、安心だ。


今日見たことは、いろいろ理由や意味を考えられるけれど、また考えも変わるだろうから、見たものだけ列挙して終わりにします。