c71の一日

生活の記録

わたしのセックス、労働観、そしてセックスワークについてのエントリのまとめ

わたしは行きずりの人とセックスしたことがあります。
それで、わたしは自尊心と、男性に対する信頼感を取り戻しました。その人は、わたしにいやなことをせず、希望を尊重してくれました。何の関係のない人間だから、ひどいことだってできたのに。
でも、それをしないでいてくれた、ってことに自尊心がボロボロだったわたしは、救いを感じました。世の中には普通の男がいるってことがわかったこと。



だから、それはビッチ療法だったのだと思います。自分の彼氏だったり、付き合う、という形にとらわれなくても、お互いを尊重するセックス、って存在するんだな、ってわかりました。
それがわかったとき、わたしはとても救われました。
いやなことをひとつもしなかったその人のことを考えると、懐かしいです。
良い時間を過ごせた、ってことが、良かったです。わたしはあのとき、切羽詰まっていて、真剣でした。真剣に、セックスと向き合っていました。
誰のためでもなく生きる、ってことは、だれかが設定した倫理観から外れることもある、ってことです。そのせいで、未来のチャンスを逃すこともあるのかもしれないです。
だけど、生き延びるためにやったすべてのことがわたしには愛おしい。


田房永子さんの

男しか行けない場所に女が行ってきました

男しか行けない場所に女が行ってきました

この本は彼氏とのもめ事のきっかけになりました。
もめ事を通して、お互いのセックス観、道徳に関して話せたのは良かったです。

雨宮まみさんの

女子をこじらせて

女子をこじらせて

この本を読んだのは助けになりました。
自分が自分らしく生きるのはどういうことなのか、自分を生きるためにもがくことはどういうことなのかわかったのがよかったです。働くってどういうことなのか。


毎日彼とは議論して、議論は日に日に深まっていきました。
性欲と、風俗。
彼は男の付き合いがあるため、風俗に言ったことがある男は九割を超えるのではないか、と言いました。風俗が苦手な男も連れて行かれると。
それは問題だとわたしは思いました。

彼の成長は目覚ましく、最初、エロい人が風俗をやるのだ、と言っていたのが、最後には風俗で働くとどのくらい稼げるのか一緒に試算し、わたしを性病検査に誘うまでになりました。
わたしも成長した部分があって、セックスワークについて、考えがまとまって来たってのが大きいです。


最初セックスワーカーを弱者だと仮定して説明した方が、わかりやすく、状況を整理できるんじゃないかなあという部分もあったのだけど、そうじゃない説明の方法がある、ってのが腑に落ちました。普通に働くことと同じなんだ、ってことです。当たり前のことに気づくのに時間がかかりました。セックスワークは、セーフティネットワークの一面を持っているけれども、必ずしもそうじゃないよね、ってのが、今はわかる。
セックスワークセーフティネットワークだから、それを否定したら、弱者に死ね、と言うことと同じだと書いたのだけど、それは間違いだった。セックスワークセーフティネットワークの代わりになっている、という現状があったとしても、それはいびつなことだしね。



セックスワーカーは、労働者だから、労働の場を奪ったら、死ね、と言っているのと同じだ、ってわたしは書けば良かった。


セックスワーカーは弱者ではないし、もちろん弱者の場合もある、それは他の誰でも同じだ、隔てはないってところにたどり着いたのは、成果だったかも。
もちろん、働いている人にとってはそんなの当たり前だよ、って思うかもしれないけれど。
セックスワークの仕事がなくなると死活問題になるのは、セックスワーカーが弱者だからってわけじゃなくて、わたしだって、仕事がなくなれば死活問題になるのと同じことなんだな、ってしみじみわかりました。
わたしは手探りで考えているから、間違っていることも書いているかもしれない。だけど、考えたいと思っています。



セックスワークは、自分に関係あることで、女性問題が凝縮されているから、わたしは興味があるんだと思った。
女性の労働問題、女性の差別問題、セクハラ問題、そういうことが凝縮されている。
セクハラって、無料で、尊厳を盗んでいく行為でもあるし、自分の権力を確認する行為でもある。これって、世界にありふれていることだ。セックスワーカーを蔑む世界ってのは、セクハラも女性差別も防げない世界ってわけです。女性嫌悪は、そのまま、女性労働ダンピングにもつながる。セックスワークは、結局、女性の労働問題とも密接に関係がある。
だから、セックスワークをしていようとしていまいと、セックスワークは自分の問題なのだ。


わたしがそんなことを考えても何の足しにもならないとは思うのだけど、たとえば、セクハラって、権力を示したい、自分で権力があることを確認するために、権力のないひとを虐げる行為です。


そういうのが、セックスワークに充満しているんじゃないかって、思いました。
たとえば、ちんこしごいて、出す、ってことがお金の対価だというサービスの場合があるのに、それ以外に、セックスワーカーの気持ちを傷つけるようなことが起きたり、射精以外の、つまり業務以外のことや、承認欲求を満たすこととか、求められることがあるわけでしょう。本強とか。良く聞くから。セックスワーカーは本当に、そういう戦いの最前線にたってるわけです。
そういうの、今まで、わたしは怖くて、考える時間が少なかったなあと思ったのです。
怖いってのは、自分の知らない世界だから、うかつなことを言って、ただでさえ、いやな思いをする回数が多い人に、さらに、いやな思いをさせるのはいやだなあと思っていました。だって、セックスワーカーの人が、わたしになにかいやなことしたことないから、だから、わたしの方もいやなことをしたくなかったです。

わからなくて、わかりたくて、これからも試行錯誤すると思う。


わたしはセックスする。お金のやり取りがあってもなくても。
わたしは仕事をする。お金のやり取りがある。でも、その中に愛が生まれるときがある。
セックスワークをしている人だってそれと同じ。
それが同時に起きているから、わたしは混乱していたのだけれど。


セックスワークには、セックスにお金が介在する。
それは仕事だ。わたしは、以前、セックスワーカーはお客さんのことを嫌いなんじゃないかと勝手に思っていた。それは、わたしが男性不信で、ミサンドリーだって部分を投影していたからだ。お客さんにもセックスワーカーにも失礼なことだった。

実際は、そうじゃない。わたしが生徒さんを愛しているように、セックスワーカーも、お客さんのことを大事に思い、尊重し、できるだけ良い関係を築きたい、って思っているんだな、って最近感じる。
全く同じじゃないか。わたしが生徒さんを愛することと、セックスワーカーがお客さんを、広い意味で愛することと。恋はしなくても、人間として尊重する気持ちを持っているってことと同じ。

(愛があるんじゃないかと思ったのはわたしの思い込みで、実際にはない場合もあるだろうし、セックスワーカーの内心を決めつけたのは今は間違っていると考えています。誰でも業務を遂行してお金をもらうのだから、愛があろうとなかろうと関係ないし、他人がどうこういうことは許されないと今は考えています。)


(労働者には、お金をもらうことで、業務に対する内心を割りきる自由を得るのだと今は考えています)

以下のエントリで発見したことは、「引け目」がすごく問題になってる、ってことだった。男も女も、セックスワーカーに引け目を感じているみたいだ。女は、セックスワーカーじゃない自分が、セックスワークについて語っていいのか、引け目を感じているし、男は、セックスワーカーのサービスを買う自分に引け目を感じている。


引け目なんて感じる必要ない、って思う。

わたしは事務の仕事を断った。向いてないしやりたくなかったからだ。でも、事務の仕事の人を軽んじているわけでもないし、弱者だと思ってない。
それと同じように、わたしはたまたま、セックスワークを選ばなかった。セックスワーカーを軽んじてもないし、弱者だとも思わない。

全く同じ話だ。
事務の仕事をやりがいがあってやる人もいるし、そうじゃない人もいる。お金のために働いている人もいるだろう。
セックスワークだって、お金のために働く人もいるだろうし、やりがいを感じている人もいるだろう。
いろんな人がいる。事務の人にいろんな人がいるのと同じだ。営業の人にいろんな人がいるのも、事情があるのも同じだ。
だから、引け目なんて感じる必要はない。

引け目が、セックスワーカーを理解する妨げになっているし、男性が、セックスワーカーのサービスを気持ちよく受けることの妨げになっていると思った。
お金で買うことの引け目、愛がないと信じている感じ、そういうのが、居心地の良さを阻んでいると思った。本当は、仕事でサービスをする人は、お客さんになんらかの愛情を抱いている。それは、恋でもないし特別扱いでもない、ただ、自分のサービスをよりよく享受してほしいと言う願いだ。より良い人間になることの手伝いをしたいと言う願いだ。少なくともわたしにはそれがある。


それと、セックスワーカーの人には似た部分があるんじゃないか、と思った。これはもちろん推測なんだけれど、あながち間違っていないんじゃないかと思った。

引け目を感じる余裕もない。
セックスワークに行かなくても、働かなくても、セックスワークの中に潜む問題は、わたしの問題でもある。
女たちの問題は、男たちの問題でもある。




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